はじまりと双子
木立 悟




午後の手を夜にするもの流れ落ち月と灯の影ふちどる熱さ



羽のうた夜と火のうた見張るよに双子のはざまを埋める海鳥



のばされた指の遠さに星は消え波をつらぬく矢は燃え上がる



舟の上ひらく双つの手を揺らし空と海をはじめるいかずち



海に咲く花から昇る珠のうた空の逆さの樹々の名を呼ぶ



火をかざし双子は舟を振り返る泥炭の地につづく足跡



消えゆく火こぼれる星の器たれ響いては去る鳥の言の葉



夜を視るたましい双つ潤ませて冬の星座よ左目に起て








短歌 はじまりと双子 Copyright 木立 悟 2007-08-13 22:48:19
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