雲の船 
服部 剛

日々の砂漠に 
埋没された 
わたしは一本の指 

墓標のように立ちながら 
指の腹にひろがる指紋は 
いつからか 
一つの瞳となり 
遠くから荷物を背負い 
こちらに向かって歩いてくる 
「若き日の自分」を 
じっと見ている 

「若き日の自分」が 
歩けば歩くほど 
「理想の自分」は 
頭の上に昇る煙となり 

届かぬ夢をのせて 
空に浮かぶ 
雲の船になっていた  





自由詩 雲の船  Copyright 服部 剛 2007-08-12 09:58:57
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