暑い一日
なかがわひろか

あまりの暑さに
体が溶けだした
それは両足から始まった
僕はそこから動けなくなった
そのうちに体全体が溶けていった

僕は完全に溶けてしまった
でもいいさ
今日はこんなに暑いのだから
僕のような人は他にもいる

僕の体はアメーバのように広がった
とにかく涼を求めて
僕は広がった

向こうから同じように
溶けてしまった女の子がやってきた

僕らは一部混ざり合った
それほど悪い気分じゃない

突然軍隊のような服を着た何人かの人たちがやってきた

彼らはみな人型を持っていた
彼らは溶けてしまった僕たちの体を人型に流し込んでいった
僕はいろんな人型に分散した
僕の左目は近所のおばあちゃんのものになった

僕たちは凝固するために冷たい部屋に入れられた

どうやら冬が来るまでここで固められるようだ

なんにせよ
あの暑さから逃れられたのならまあいい

もうすぐ冬がやってくる

(「暑い一日」)


自由詩 暑い一日 Copyright なかがわひろか 2007-08-11 16:40:27
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