陽だまり
北野つづみ

日曜日の朝には
ふたりで散歩に出かけた

草花を摘んだり
空を見上げたりした

原っぱには
一本の砂利道が続いていて
その道をふたりは
ただ、まっすぐに歩いた
ときどき
トノサマバッタが驚いて
空の向こうに逃げていった

無口な父だった
仕事にばかりかまけて
母とうまくいっていないことは
子ども心にもわかった

なにを話したかさえ
今はもう覚えていない
いつから
一緒に歩かなくなったのかも

記憶のなかで陽だまりは
いつもとても静かだった


二〇〇六年十一月二十四日


自由詩 陽だまり Copyright 北野つづみ 2007-08-10 22:46:50
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