ノート(橋)
木立 悟




短く撓んだ橋があり
歩いても歩いても
向こう側につかない
ひとつの巨きな魚の影が
川底の蒼い建物に落ち
頭でもあり尾でもある尾が
無数の泡の影を束ねている



吼え声が水面を揺らし
逆さまの扉から蒼は増す
橋の影も 魚の影も
蒼のなかに浮き沈み
橋げたと橋げたの影だけが黒く
空に足もとにゆらめいて
向こう側にはまだ
たどりつかない











未詩・独白 ノート(橋) Copyright 木立 悟 2007-08-10 16:04:03
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