きみの国を探している
yo-yo

見上げれば星屑が眩ゆすぎて
さすらえば闇が深すぎて
若いぼくらは歓喜で眠れなくて
そんな国があった


言葉でもなく指きりでもなく
確かめ合った
赤い木の実を食べて
甘い草の根をかじって
そこに
きみの国があることを


春には桃色のカーテン
夏には光のオブジェ
秋には虫たちのトッカータ
そして冬
ひとびとは白い夢につつまれて眠る
優しい国があった


小さな集落がいくつもあり
それぞれの言葉があり
そこで生きて
そこで死んでゆく
山の上にひっそりと墓が残った
静かな国


貧しくて飢えた
一粒の米も大切にした
米養生の甲斐もなく死んだひとたち
米は命だった
米は薬だった
瑞穂の国


水が豊かに流れていた
メダカがいた
ニゴロブナがいた
オオサンショウウオがいた
そして
きみがいた


虫たちのように
灼熱の下で
ぼくらは死んでしまったのだろうか
夏の終わり
ひとびとが泣いた日に


きみの国を探している
きみに会うために
どこまで帰らねばならないのだろうか
どこまで
帰らねばならないのだろうか




自由詩 きみの国を探している Copyright yo-yo 2007-08-10 06:14:40
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