創書日和「砂」
イズミナツキ
水で泥にしてお山をつくろう
そこで僕らは暮らすんだ
僕らの城をつくろう
トンネルをつくろう
僕らの城は何でもありだった
掘り合ったトンネルが開通したとき、僕らの手が触れ合った
帰り道に手を繋いでいるときとは違う、不思議な感覚
泥で少しザラついたからではない
なぜか顔が赤くなった
空はオレンジ色に染まり
僕らはまた、手を繋いで帰った
そのときにわかった気がした
ずっとこいういう日が続けば良い
おとなになっても続けば良い
僕らの城をつくろう
そこで僕らは暮らすんだ
当たり前のように
乾いて崩れてしまった砂の城
僕らはもう会えないのかな
こんな歳になっても
僕らの城をつくりたいなんて思ってるけど
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創書日和、過去。