アナフィラキシーの夜
朽木 裕

リノリウムの床に 不安定な緑
君は まだ 息をしている 午前0時過ぎ

祈りのために組まれた手は
逆に濃い絶望を想起させ
消えないランプは手術がまだ終わらないことを知らせている

「良いとき」と「悪いとき」が必ず交互にくる人生の波

画用紙の中央に横一直線を書いて、
自分が生まれてから今現在に至るまでの状況を書き記す。
線より下が悪かったとき、上が良かったとき。
それをつなぐと波になるのだ。

「ね?悪いことあったら次は良いことあるでしょ?」

君がいつか教えてくれた

君は命の波と戦い続け、そして今日
命をうつす緑色の波に終わりを告げた

リノリウムの床に 不安定な緑
君はもう 呼吸をとめた 午前2時過ぎ


自由詩 アナフィラキシーの夜 Copyright 朽木 裕 2007-08-09 18:05:35
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