よるのこども
ゆるこ

襖越しの笑い声
いったいどこに溶けたのだろうか
36度の空気が
ごくりと現実を麻痺させる
 
たらたら落ちる夏の汗
発汗先は押し入れの中
揺れる幻想
消せる残像
 
 
風鈴が襖越しに聞こえる
 
ひっそりと
僕は世界に寄り添い
いつかの水音を辿る
 
記憶の蓋は曖昧に
優しい殺伐を贈ってくれる
 
それはそれは
悲しい孤独
 
絡まった水飴
指先で探る
 
 
押し入れの中でくちる体に
僕は泣きながら無償の愛を贈った
 
痛んだ睫毛が
淡白に、笑った


自由詩 よるのこども Copyright ゆるこ 2007-08-08 23:00:49
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