両親選定
なかがわひろか

両親が好きな子がいた
どんな両親が好きなの
そう尋ねると
それはそれはたくさんの条件が出てきた
まだ続きそうだったので
それを遮って
ところでその条件にあてはまる両親はいたのと聞くと
まだ見つからないと言う

当然だ
そんな両親はきっとどこにもいない
僕はそうその子に言おうかと思ったけれど
その子はまたたくさんの条件を挙げ始めたので
億劫になってやめた

ふとその子は話すのをやめた
向こうからとても仲の良さそうな
家族が歩いてきた

お母さん
お父さん
まだ小さな息子

その子はその家族に駆け寄って
ごつんとまだ小さな男の子の頭を殴った
男の子は泣いた
うるさいので側にある石で
またごつんと殴った
男の子は泣くのをやめた

その子はそのまま
お母さんとお父さんの手を取り
歩いて行った

あの子は
理想の両親を見つけたようだ

僕は息が途切れ途切れになった
まだ小さな男の子を抱きかかえて
家に連れて帰った

僕は彼の両親になるために
奥さんを探さなければならない

(「両親選定」)


自由詩 両親選定 Copyright なかがわひろか 2007-08-08 00:07:36
notebook Home