さなぎ
青井 茜

 
 
沢山 沢山
愛でた花は
 
いつの間にか
僕の身長よりも
伸び て
 
初めて買った
赤いガーベラのように
僕の右眼は紅くなった
 
 
細かな艶やかさを
「綺麗でしょう」
と見せびらかして
 
翻す羽根もありはしないのに
僕は咄嗟に飛び付きそうになる
 
 
 
小さく、
 
(生きてるんだ)
 
 
 
僕を包んだ命も
いつかは枯れて
 
 
「また来るよ」
 
 
言い残した言葉が
 
 
 
孵化する
 
 


自由詩 さなぎ Copyright 青井 茜 2007-08-07 21:30:00
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