At Sea
N.K.

高校生だったとき 詩を書きたいと思った
テストが終わって せいせいしたときに
その割に 「ゆらゆら」とかと
原稿用紙に書き殴った覚えがある。
山のふもとの小さな町で
自分が船に乗っているかのように。

高校生だったとき 詩を書きたいと思った
言葉を覚えることにうんざりして 
自分の中から何かがあふれ出してくるような気がして
それでも 頭の中の隅々を あれやこれや
探していたっけ
未だ覚えてもいない言葉を求めながら。

それからどれほど経ってしまったのだろう
郊外の西日のあたる小さな部屋で
ぱらぱらぱら ページの波間をただよって
ゆらゆらゆら 惰眠という名の船に揺られて

もう何を書いたか思い出せない。
まだその言葉は捕らえていない。


自由詩 At Sea Copyright N.K. 2007-08-07 18:08:56
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