At Sea
N.K.
高校生だったとき 詩を書きたいと思った
テストが終わって せいせいしたときに
その割に 「ゆらゆら」とかと
原稿用紙に書き殴った覚えがある。
山のふもとの小さな町で
自分が船に乗っているかのように。
高校生だったとき 詩を書きたいと思った
言葉を覚えることにうんざりして
自分の中から何かがあふれ出してくるような気がして
それでも 頭の中の隅々を あれやこれや
探していたっけ
未だ覚えてもいない言葉を求めながら。
それからどれほど経ってしまったのだろう
郊外の西日のあたる小さな部屋で
ぱらぱらぱら ページの波間をただよって
ゆらゆらゆら 惰眠という名の船に揺られて
もう何を書いたか思い出せない。
まだその言葉は捕らえていない。