祭の金魚
ぽえむ君

祭の金魚すくいで義理でもらった
間に合わせの小さな薄いビニール袋に
入れられた時から
すでに水がこぼれていた
それでもそこから漏れてくる水を
押さえながら
そろりそろりと家に持ち帰る

とりあえず
風呂場の洗面器の中に入れてみる
泳いではいるけど
どこか元気がない
もらう時はあんなに元気に泳ぎ回っていたのに
もう元気を失っている

次の日の朝
金魚は生きていた
駅前のお店で開店とともに水槽を買ってきた
中に入れる竜宮城のセットも忘れなかった

家に戻り
置くべきところに水槽を置き
いざ引越しと思った時だった

洗面器の中の金魚は動いていなかった
家の中には
丈夫で立派な水槽だけが
窓から入る光に照らされていた


自由詩 祭の金魚 Copyright ぽえむ君 2007-08-06 23:15:00
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