だから判るんだ
プル式

お金持ちのという程でなくても
普通に生活ができて
少し裕福な家庭に育った
そんな奴らが僕は嫌いだ
いや妬ましいのか
羨ましいのか
そんな話を兄貴としていた
どうやら兄貴も
思うところがあったらしく
素直すぎるんだよね
と言って笑った
そういう奴らの絵や
言葉や音楽や
思考のつくりが羨ましいよ
そういう絵には適わないよ
そういうと
まあな、そういう場合もあるよな
といった兄貴は
いつもより少し
寂しそうだった

兄ちゃん
あの頃の僕らは
何の為に生きてたんだろうな
一本のとうもろこしを取り合って
食うために殺し合いの真似事とかさ
物を貰いに友達の家に行ったりさ
でもあの頃のおかげで
ナイフの使い方とか
喧嘩の仕方とか
格好のつけ方とか
生きていく事とか覚えたんだぜ
兄ちゃんはどうだか知らないけど
僕はそうなんだぜ
小学生の時に掴んだ包丁の重さが
確かに僕の重さなんだ
それよりきっと
重くも
軽くも無いんだ

兄貴にとうもろこしを食うかと聞いたら
なつかしいな、だって
「兄貴覚えてるかい」
そう言いかけたけれど
言葉が出なかった
変わりに
明日も暑くなりそうだというと
兄貴は遠くを見ながら
風鈴を鳴らした
兄貴、覚えてるかい
とうもろこしのしょっぱさを
もうじき夏が
終ろうとしてるんだぜ


自由詩 だから判るんだ Copyright プル式 2007-08-06 01:46:35
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