リーサルウエポン
悠詩
使い古した心にナイフ突きつけ立て籠もる
ためらい傷を掲げる罪を問う
限りない調和を求める安穏とした世界で
憎しみをいだく罪
万能の神すら恨まれる
聖人君子よ
ひとは憎み
恨み
妬み
羨む
蒙昧の沼に溺れた自らを
蒙昧と分からぬままに救い
あなたは
憎まぬすべを知り
憎まぬ振りをするすべを知った
蒙昧なるわたしは
沼に溺れ
いまだ溺れ続け
使い古した心にナイフ突きつけ立て籠もり
そのわたしには
自らを救い出す時間すら与えられないのか
聖人君子よ
胸にナイフを隠し持った聖人君子よ
あなたは心の周りに防護壁を作り上げた
しかし
わたしの心のそばには
一振りのナイフしかない
諸悪の根源である凶器こそが
弱きわたしの爪牙なのだ
罪に耐えるための罪なのだ
清廉潔白を主張する偽善者よ
人質は生きていてこそ意味がある
あなたが無造作に
ナイフを捨てよと吐くのならば
わたしは使い古したおのが心を
噛み砕かなければならないだろう
光は
自らが与えた闇を
認めなければならないのだ