夏しずか
木葉 揺

抑えられて ふくらむ青
咳一つごとに 飛び散る景色
定まらぬ正中線が
欠片を探している

打ち上げられた海鳥が一声鳴いたとか

なぞったものを 刷り込めば
たがうことなく歩む夏
しばし体を溶かした後
背を伸ばせば 日が沈む

郵便受けに わずかな潮の香り
また一つ咳き込むと
飛び散る家族の映像
それでも つっかけはカラン
つられて笑う 影も笑う


自由詩 夏しずか Copyright 木葉 揺 2007-08-05 22:38:45
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