まばたく世界
快晴
まばたきもしないまま
どこまでも駆けていけるって
目を閉ざした瞬間に
世界は一変してしまうから
そんな風に思って、た
目に映るものは全て嘘だと
世界はマボロシで出来ているんだと
はるか昔のあいつの口癖
今はただあぶく銭を稼いで
酒に溺れた生活をしてる、と
彼女はたしかに言いました
私はあなたのものなのよって
だからずっと目を逸らさないでと
ある雨の日の車に乗り込む後ろ姿
彼女を見た最後の記憶、に
広い世界を見るんだと
あの人は私によく諭してみせた
俺みたいにはなるなって
最も近くて遠い隣人は
かつての記憶を繰り返し、て
あの子はその時何を見たのか
床下2メートルの高さから
踏み台を蹴り倒した時
その瞬間まで瞳孔を開いたまま
最後に光は見付かったの、か
あっ、今、まばたき
世界がこの一瞬
ずれていく
ただ私だけを
ここに残して
そして、また、まばたく