夏の日
由希
優しい、せせらぎ
豊かな水の
湧き出すところ
素足で岩場を歩き
小さな蟹を捕まえた日は遠い
空には光が溢れ
眩しさに視界を覆えば
木の匂い
水面に映る緑葉
風が吹くたびに揺れて
まだ言葉を知らなかった僕は
ただきれいだと思った
戻ってきた兄さんが笹の舟を作り
そっと流れに乗せた
ゆっくりと、遠くへ運ばれていく舟
哀しくなって
大きな手をぎゅっと握った
いつの日か
あの舟を奔流で拾うのは
大人になった、僕なのかも知れない
自由詩
夏の日
Copyright
由希
2007-08-04 19:57:56