秒針
乱太郎

今日と明日の夜の谷間に
微かだが
感じるあなたのため息
ソプラノ歌手よりも
こころに染みる
透き通ったそのひとの言葉
最上の音楽に聞こえる

胸のふくらみがさらに大きくなり
木管の寂しげな音から
解き放され
鼓膜を内側から破いてしまいそうな
激しい鼓動

愛している
それさえ陳腐に思えてしまう
この想い
それよりも
温もりがほしい
だけなのかも


零時を過ぎようとしている
秒針の動く音が
残酷に思えるときがある
もしかしたら
明日は別れの日になるのか
このまま
でいたい


明日が今日になって


愛する人がいる
信じられるそのひとがいる
自分に誇りも持てば
いまの寂しさは
アルバムのなかに収まり
ふたりで笑って眺めている日が訪れる
に違いない

夜はわたしたちを
祝福するためにあるのかもしれない


秒針がまたひとつ動いた


自由詩 秒針 Copyright 乱太郎 2007-08-03 09:19:22
notebook Home 戻る