ライトニン
モーヌ。
髪を 切った 襟足の ひみつ から
娘たちは 飛んで ゆくと いう
純朴な 神話が 解かれて いる
風祭を 孕んだ 帆用飛行艇の 陶酔は
あらたな 海の 水平を 抱くこと だった
夏の 中心で 涼と ひびいた 刹那に
あかるい ライト パープルが うすく まとわり
白い 曲線たちを 浮かんで さらに 飛翔
feel feel feel
so good
飛ぶ ことの 味を しめて しまった
それは 先立つ 自由 という
イデアの 名を 走りながら 描く こと
軽量化 しながら なおも 軽く
右肩から 天使の 真顔と 向き あって
どこまでも 伸ばされた L字の 指先 たちは
虚空を 巻きつけ ながら 颯爽と
Yes と いう かけ声で 跳躍 して
そんな こころを 忘れて しまう
だって こころは そんなとき
ゆるやかに なり
ケルブを 駆って
ぼくらは 薄着の 重力と 笑い あう
かげろうが ゆらいで いる
飛行と 飛行の夢が 交錯 して いる
追いかけること なく おたがいが
交互に 実体と なり 影と なって
静謐な 革命として 散った
それは むかしに ぼくが 書いた 真夏
夢とか 旅の 終着 詩の 終わり
ブレイクして 落下して ゆく
雑草に まみれた ひびわれた 滑走路に
片翼の 綿毛の ような 驟雨は やわらかく
ひとりの 福音書記と して
キーンと ほてった アスファルト
風が 切り こぼし ささやく 迎撃に
ひとつの こころを ふるわせて ゆきながら
起源の なか道を 立ち 還って いった...
ひまわりたちが ゆれて いる