転んだら立て
ぽえむ君

風が止まったと同時に
少年は小さな石につまずいた
たいした怪我ではなかったが
泣き叫んだ

辺りを見回した
誰もいない
一人で立ち入り禁止の工事現場に
入っていた
日曜日の今日は誰もいない

少年は起き上がらなかった
もう一度
泣き声をあげた
誰もいない
誰も自分に気づいてくれない
暑い風だけを感じた

いつもならば
母親が飛んできて
自分が泣く前に
母親が叫び声をあげていた
周囲の大人たちが
自分を立たせてくれた

少年は誰かを待った
彼の考えの中に
一人で起き上がる考えは
まだ生まれていなかった
砂の匂いをきつく感じた

少年は渇いた
そして
ようやく一人で立った
地面の風よりも涼しい風を感じた
当たり前の風が
こんなに気持ちのいいものだということを
初めて知った

風が少年の背中を押していた


自由詩 転んだら立て Copyright ぽえむ君 2007-08-01 19:24:34
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