旅に出よう
ぽえむ君

お父さんばかり旅行して
子どもたちはそう言っているが
単なる出張をしているだけだった

夏休みだというのに
どこへも連れて行かせてやれない自分が
情けないのだが

仕方なく今回も出かけてゆく
マーケティング調査のために
会社から言われた場所へと向かう
特別なテーマパークもない現地は
平凡そのものだった
それでも仕事を片付けねばと
まずは地理を把握する
次はそこでの生活感覚を読み取ってゆく
どの学校に通っていたのか
何の風習があるのか
どういう店があって
どんなものを買うのか
何が話題の中心なのか
気づけばわずか数時間で現地の人である

出張から帰ると
子どもたちはお土産だけが気になるようで
その名産のいきさつなどには興味がない
子どもたちは旅行というものを知らない
行きたいところといえば
誰もが知っているテーマパークしか言えない

夏休みだというのに
どこへも連れて行かせてやれない自分が
情けないのだが


自由詩 旅に出よう Copyright ぽえむ君 2007-07-31 21:06:00
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