いのち
ゆるこ

生きて
死んで
(産まれて)
(消えて)
 
 
少年は灼熱の路上に蟻のように群がった
焼けた手足は剥がれた世界と同化した
 
 
生きて
死んで
(産まれて)
(消えて)
 
 
疎ましい歌を歌いきった老婆は
笑うように空に手をかざした
太陽はぎらぎらと
その身を焦がしていく
 
 
生きて
死んで
(産まれて)
(消えて)
 
 
沢山の蜂が
蜂の巣から叩き出された
宛てもない怒りは
プールに消えた
 
 
生きて
死んで
(産まれて)
(消えて)
 
 
しゃぼん玉の光が大衆に消えた
向けるレンズの先には
たくさんの命
 
 
命が笑っていれば
その身がなくなれど
削られるものは少ない筈だ
 
痛みを繰り返し
追憶を繰り返す
そんな循環なら、いらない
 
 
虚ろな眸を向ければ
自ずと足元は頭角を表す
 
泣きたいなら泣けばいい
生きて
生きてしまえばいい。
 
 
それで、いい。


自由詩 いのち Copyright ゆるこ 2007-07-31 19:48:13
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