砂のコビト
あおば
070731
砂の器に
砂を盛る
砂の台を
飾り立て
沈思黙祷
午前5時
蜩の声がする
夏の朝は気が早い
立ち上がり
走り去る気配に
裾を掴んで引き戻す
小さく畳んだ核弾頭
ずどんと一発
発射間際に波が来た
砂の台に砂を盛り
砂の器を飾ります
清めて祈る午前5時
蜩の声がして
発射寸前に波が来る
小さく畳んだ昨日まで
(畳んで綴じて砂に埋め)
今日の予定も未定となって
裾をからげて引き倒す
砂の台は崩れ去り
こんもり歌う海鳥の
広い翼に身を隠し
砂のコビトが舟を出す
清めて払う午前5時
砂の台に砂の舟
解纜の認可も無しに
帆を上げる
一直線に砂の海
白い風切り波立てて
待たずに座れる
特別席で
砂のコビトが欠伸した
砂の器に砂の飯
砂の台に砂の花