雨の日のルノ
結城 森士

カツンカツン

困惑した音が鳴り響き
チラチラ
と、僕は
眩暈を耐えている
今日は
アルヒルノ
無人の路上に倒れる
視線気流に巻き込まれ
涙が降り注ぐ
ゆっくりと
雨の線が見える日

こんにちは、アルヒノ
思い出
白紙を千切って
窓から流すと
風に乗って
蝶になって
飛んでいった
どこか
どこか?
夜の電信柱の下に倒れる
持っていた花束が水溜りに映る
そして蛍光灯の不確かな相槌
みすぼらしい追憶の破片
アルヒノ
ピアノ
消えていく
思い出とか
今、砕け散った
空想蛍光灯とか
ショート?
ショート
暗くなって何も見えなくなった

アルヒ
アルヒノ
空が遠い時
ぽっかりと浮いてしまった心に
何かが沈んでいったこと
それは暗闇
アルヒルノ
ただ暗いだけの
その空間に存在する
ピアノ線の上を
二つの小さな円が
斜めに伸びていった
今、目が覚めた

交差点の対岸に
足だけの少女が
青を待っていた
トラックが通り過ぎると
彼女はいなくなっていた
アルヒノ
ピアノ
雨 デ・
クレッシェンド
激しい涙
ルノは今
どうしているんだろうか


自由詩 雨の日のルノ Copyright 結城 森士 2007-07-30 19:17:43
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