ノーネーム
優飛
なんとなく
名前を忘れたら
気持ちが楽になった
苦しみもなくなって
痛みもなくなって
しがらみもなくなって
名無しも悪くない
まるで自由みたいだなって
思えたのは束の間
理由もなくなって
必要性もなくなって
意味もなくなって
喜びもなくなって
安らぎもなくなって
繋がりもなくなって
指の隙間から
大切なものが
どんどん零れ落ちて
失う物が多すぎて
あわてて付けた
ネームプレート
存在の証明
少しの束縛感
大きな安堵感
と同時に
思い出したのは
名前に彩られた
私が私である事の自由