「屁」
プテラノドン

夏の夜

プラットホームは驚くほど臭い

それは 

サラリーマンが屁をするからで

みんなじょうずに屁をするから

ぼくはまだ 

その音を聞いたことがない

電車が来ると黄色い線の内側で

ぼくも屁をした

ドアが開くと乗客はゲロを吐いた

気分が悪くなったのか

もともと気分が悪かったのか

そういう経験って誰にでもある

午後九時。駅のトイレ。

小学生の男の子が

小便といっしょに屁をもらした

隣にいた

中年のサラリーマンは

アンちゃん!屁!したべ!

と怒鳴った。

男の子は駆けて出ていった

おじさんは満足満足といったご様子で

 プップカ、プップカ 屁をした

ぼくがはじめて聞いたサラリーマンの屁は

ぼくが眠りにつくまで

何度も、何度も

聞こえていた―






自由詩 「屁」 Copyright プテラノドン 2007-07-30 01:14:22
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