私は死んでいるけどあなたは生きるんだよ
ずっとずっと生きていくの
私のことは忘れて
それは本心で本望だよ
何十年後も 誰かがそばにいても覚えているっていう人がいるけど
そんなのは悲しいよ
相手の人に失礼だ そんなのないよ
だから忘れて下さい
ゆっくり時間をかけてでも 忘れて下さい
思い出にも記憶のどこかにも入れないで
そんなの悲しいと人はいうけれど
私はそれが一番いいカタチだと思う
だって死んでいるのだから
いないんだから
張り合えないから
今まであったことは私が全て背負います
持っていきます
なかったことにはならない
だから全て私が引き受けます
忘れて
それが一番いいし そうしなきゃいけないよ
あなたが忘れないと言ったら私はあなたを許しません
忘れなきゃいけないから
いつかあなたの隣りにいる人にとても失礼だと思う
だって死んだ奴と張り合えないでしょ
過去の人になるんだもん
それに遠い未来のあなたの子供に失礼だよ
いろんな人に大して失礼なの
私は忘れてほしい
忘れないで下さいなんて言わないよ
言いたくないから
忘れてほしいの 私という存在を
そうして私はようやく世界から抜け出せる気がする
驚くほど無惨だっただろう私の死体
あなたはどう思ったのかな
泣いている姿が見えたよ
ああ 私は目を開いて死んだんだ
動かないもの
何も何も 瞬きすらできない