「ま」の字

そこは陥没した土地の底だった
ふしぎにあおぞらに囲まれ
馴れ馴れとSiraketa鳥のとぶ低地
新しいだけがとりえのその土地に
湧き出る雲は白くて尽きないのでおそろしい
すうすうすうすうゆく雲のしたは
果てまで綺麗に穴が並んでいる

 これ
 かまどだよね?

やがて
雲の湧くあたりから列車が現れ
徐々に近づいてきて目の前で停まった
どうする?
きまり悪く顔を見合わせていると
列車はひょろりと私達をさらい
牽いてきた貨車にポンと投げ込んだ
「さあて、どうかき混ぜよう」

そら列車が出発する
次第にスピードが上がり汽笛を鳴らせば
野越え川越え ヒヤ! ヒヤ!
おお、天地はさらだぼうる さらだぼうるだ
素晴らしい
夢だ
そうに違いない

私達は皆
地平に怒鳴った

急カーブを曲がる度に歓声をあげ
笑いに包まれる私たち
すっかり険悪になった風に囲まれ
猛スピードで走るその先には
新しくできた穴が
真っ黒な口を開けて待っていた



自由詩Copyright 「ま」の字 2007-07-29 09:22:54
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