エピローグ
山中 烏流

君は
僕の知らない目をして
その光景を
眺めている
 
髪の毛の焼ける
独特な臭いのあとで
君はただ
真っ赤に見える空を
抱く
 
*
 
今はもう
塩分と水分に分かれ
元は母と言われていた
大地に佇んでいる
 
白く靄がかった
濃い空気感の中で
僕は君の腕を掴んでいる
君は僕の喉を握っている
 
強く、握っている
 
*
 
最後に私を
刻んでください
 
思考を私で
埋め尽くしてください
 
あなたが宇宙へと還る
その刹那の時を
私に、ください
 
*
 
君は目を瞑る
瞑ったあと、開く
何かが焼ける臭いが
鼻を刺すのを
気にも止めないように
 
僕は君の喉を
そっと握り始める
 
握ったあと
柔く、柔く、力を
込める
 
*
 
小さな雫が
手首に落ちた、刹那
確認するより先に
帰化してしまった
 
世界は急速に
空を
赤く染める
 
*
 
世界が終わる
その最後の瞬間まで
繋がっていてください
 
その最後の瞬間
名前を
呼んでください
 
ただ
名前を、名前を。
 
*
 
 
 
赤く、光る。




















 


自由詩 エピローグ Copyright 山中 烏流 2007-07-28 17:22:47
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