宇宙の終わりの日に
円谷一
森羅万象の苦痛の叫び声が聞こえてくるよ
大変だ 誰か宇宙に助けに行かないといけない
万物とはかけ離れている世界 iPodの曲を聴きながら真っ青な空に浮かぶ染みのような宇宙をみて思う
でも叫び声が聞こえてくるのはよくあることで きっと人間達がdestroyを続けているからだろう 僕は叫び声を無視して携帯で詩を書いていた
叫び声は断続的に続いた だんだんと声が大きくなるにつれて人々は苛立ちを感じ 宇宙の人間達を黙らす為に殴り込みに行こうぜ! という話になった 単独で複数で戦闘用宇宙船で宇宙に攻撃を仕掛けに行った その喧騒の中ただ堤防の土手に寝転びながら歌を歌っていた 爆音がここまで聞こえてくる ワンセグでそのテレビ中継を見た 宇宙側の人間が勝っているのか空で次々と墜落していくこちら側の宇宙船が見えた 人々は逃げ惑い ようやく気付いた警察や軍が出動し 戦争を止めさせる為仲介役に入った警察と軍だったが 宇宙側の人間達に巨大宇宙船を爆破されて二の舞を喰らった すると警察と軍は激怒し 一般の人々達と一緒になって攻撃側に回った その様子を見ていた人々も僕も大笑いし メジャーリーグを観戦しているどっちのチームのファンでもない観客のようにどっちかが優勢になればそっちを応援していた
しかし他のチャンネルでは大事件が起こった時のように緊急報道特番をやっていて軍をこれよりももっと増やして 宇宙を破滅させるとまで大統領は演説した これはマズいなと人々も思い 応援するのを止めた 森羅万象の苦痛の叫び声はこの世界中に響き渡るようになり耳を劈き 人々は苦痛を訴えた 早く宇宙側の人間と話をつけなければ人々の鼓膜は破れ宇宙が爆発して死の灰がこの世界に降り注ぐであろう
でもテレビに齧り付きただ黙って行く末を黙って見ているしかなかった コンビニに行って葡萄のチューハイと大量のクラッカーを買って食べて飲みながら 血の色に似た夕焼け空をじっと見上げていた 流れ星のようにも見えたが空に傷を入れながら墜落していく宇宙船があった
夜になると宇宙の染みは見えなくなった 今日はガールフレンドと初めて花火大会に行くつもりだったが当然のように中止になりデートの話は白紙に戻った 宇宙側の人間に悪意を感じ 空の方では間に合っている宇宙船が爆発して花火のように散っていく光景を見ていた 爆発音も花火の音に似ていた
満天の星空の中でちっぽけな争いをしている生き物達が虚しく見えた 酔いが回ってきたのか瞼が重く感じ懸命に目を開けようとしたが耐えきれなく目を瞑った 無意識の端っこで空での爆発音が聞こえてきた 本当にここで眠ってしまったら危ないということが分かっていたが少しの時間ぐらいならいいと思って眠ってしまった
目を覚ますと日付が変わっていたようだった 周りを見回してみると 所々で真っ黒な炎が上がっていた 宇宙が爆発したのだ そしてその爆発音にも気付かずにぐっすりと眠っていたのだ 宇宙は無くなってしまった 酔いが抜けきっていないのか虚しさがあった