欠家族
青井 茜
構って欲しい欲求が交差して
母さんへの手は今日も降参した
毎晩割り箸の音が窓を叩く度
そろばんで計算したお弁当の旅
泣きたくなるね
帰って来てからの第一声が
「早く外に行きたい」
「帰って来なければいいのに」
(どこにもいかないで)
迷った末飲んだのは麦茶で
温いことを理由に湯舟は避けた
冷え切っているね
父さんの口癖はしばらく聞いてない
煩わしさに買ったピアノも弾いてない
半分だけ鳥になった脳が
羽ばたいてを要請した
飛べや、しないよ
(あきらめたくはないの)
明日こそは
流しに茶碗をばらまきたい