おれんじのくれぱす
青井 茜
女の子は、言いました。
「おそらがね、ないてるの」
青く、晴れ渡った日のことでした。
「かわいそうだから、えがおにしてあげるの」
得意げにクレパスを掲げて
リボンふりふりさせました。
「ぴんくはぬりえにつかっちゃったから、つぎにすきなおれんじのくれぱすをつかうの」
1番短いピンクを置いて
2番目に短いオレンジをポケットに入れました。
「あのおやままでいくんだよ」
指指したのは500m程先の丘でした。
「ももちゃんにのっていけばはやいんだよ」
ももちゃんとは、三輪車のことのようでした。
「おやまのてっぺんに、それいけー」
ピコピコと音の鳴るサンダルで
キコキコと進んで行ってしまいました。
無事にたどり着いたのかはわかりません。
が
その日の夕焼けは
女の子が2番目に好きな
おれんじのくれぱすと同じ
綺麗な、きれいな。
「おそらがね、わらったよ」