おれんじのくれぱす
青井 茜

女の子は、言いました。
 
「おそらがね、ないてるの」
 
青く、晴れ渡った日のことでした。
 
「かわいそうだから、えがおにしてあげるの」
 
得意げにクレパスを掲げて
リボンふりふりさせました。
 
「ぴんくはぬりえにつかっちゃったから、つぎにすきなおれんじのくれぱすをつかうの」
 
1番短いピンクを置いて
2番目に短いオレンジをポケットに入れました。
 
「あのおやままでいくんだよ」
 
指指したのは500m程先の丘でした。
 
「ももちゃんにのっていけばはやいんだよ」
 
ももちゃんとは、三輪車のことのようでした。
 
 
「おやまのてっぺんに、それいけー」
 
ピコピコと音の鳴るサンダルで
キコキコと進んで行ってしまいました。
 
 
 
無事にたどり着いたのかはわかりません。

その日の夕焼けは
女の子が2番目に好きな
おれんじのくれぱすと同じ
綺麗な、きれいな。
 
 
 
「おそらがね、わらったよ」
 
 
 
 


自由詩 おれんじのくれぱす Copyright 青井 茜 2007-07-26 23:07:46
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