ガムリのスコッチ
石川

なんだか喋りたくなくなったと
ガムリがいうので
グラスの底にしずんだ
まるい氷をみてた
ガムリのすきな話
手持ちのトランプの
模様やはしくれ
でもたぶん
話すのが面倒になってきた
そういう話

かなしいときは
歌をうたうんだ
どっちにしろ
僕は

なるべくどうでもいい歌を
たくさん

隙間がある
迷ったらひろい場所へ行く
やさしくきびしい路
なにかに似ている
靴音にあわせて
ガムリがうたう

のりこえたようにみえても
膝もとに
かさぶたがふえたり
底のほうの
氷がとけて泣くことがあって
ときどき
わからなくなる

店先にある
ガムリのサボテン
黙って青くなる
ねんがらねんじゅう
根から棘から
なにかいだいて
あれは座っているようで
うたっているのかな、ガムリ



自由詩 ガムリのスコッチ Copyright 石川 2004-05-22 02:42:10
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