FUBAR

久方ぶりの再会
あの人は
ひどく優しい顔つきになっていた
陰影を湛えていた
昔とはえらい違い

皆には見えない
私には見えていた
大きな刀を裸で持ち歩いていたのに

信じた道を突き進む人だった
ある者は
まさに切られたのだ
ある者は
身体の一隅を突かれたのだ
きっと
好かれも嫌われもしたはず

もう刀は持っていないのかと訊いた私に
驚きながらも答えてくれた
あの刀は
今の自分には大きすぎるし重すぎるから
他人に譲ってしまったとのことだった

なんということだろう
これが
月日の流れというものなのか
年月の流れというものなのか

浅い失望に溺れかけていたとき
わっと
人いきれから声が上がる
行かないと
そう口にした横顔は
ああ
変わってなどいなかった
昔のまま
いつの間にやら手にしていた刀
ちゃんと持っていたのだ
小ぶりになってはいたものの
鞘に納まってはいたものの
眩しかった

やはり昔のように
見送ることしかできない私は
やはり昔のように
遠ざかる背中に呟く
気をつけて


自由詩Copyright FUBAR 2007-07-25 05:04:36
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