私が戦士じゃないとしたら
ブルース瀬戸内
私が戦士じゃないとしたら
それは、この剣を捨てて
あなたを助けてしまったことに
由来するのかね。
それとも、
もう戦いは終わったから
ということかね。
こうして月光に照らされて
名も知らぬ荒野で寝そべって
まったく
私が戦士じゃないとしたら
私は何だろうね。
本当は分かっているけども
留保したくなるもんなのさ。
弱いからね、私は。
自分を決定したくないのさ。
だから志願兵として
後くされなく
蛮勇を振るうつもりだったけども
ご承知のとおり、このザマさ。
あなたの目なんて見たらね
戦いの意味なんて融解してしまうもの。
守るものはね、
どう考えても、その目だよ。
今夜はしかし、
風がやけに気持ちいいね。
明日はね、晴れると思うよ。
明日の朝はこの剣を使って
美味しいものでも作ろうか。
こういうことをね
求めていたような気もするよ。
風が気持ちいいうちに
今日は寝てしまおうか。