静寂
風音

そこは
静寂の世界だった
すべては枯れ果て
耳を澄ましても
何の音もしなかった

かすかな暖かさも失せ冷え切り
それでも寒ささえ感じないような

視界が遮られる
見渡す何もかもが
単なる濃く白く深い霧だった

唇からは言葉も消え
瞳からは涙も果てて
要するにわたしは空っぽだった

自分がどこにいるのか
立ってるのか座ってるのか
どちらを見ているのか
それとも見ていないのか

自分のことが自分で分からなかった だから

孤独だった
一人ぼっちだと思っていた

この静寂を、空虚を埋めることは
誰にもできないと
たとえ誰かがかかえあげてくれても
きっとわたしは崩れ落ちる
静寂の世界に

けれど
明かりが
ほのかな明かりがわたしを呼ぶように

そっちに向かって歩いていこう 
とりあえずは
あの明かりはきっと希望なんだろう
たぶんきっと


自由詩 静寂 Copyright 風音 2007-07-24 11:01:08
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