涅槃インテリゲンツィア
円谷一
自由に詩を書く
体が風に煽られてTシャツが風船のように膨れ上がる
飛び上がる
静止して
世界を眺め回す
笑顔になって空を見上げる
降るような星の夜空を手に握ったまま
彼方を見つめる
詩を歌うよ
この世界が梅雨の水滴の一つとなって紫陽花の葉から重力に逆らえきれず落ちる
逆さの世界がかたつむりの頭に落ちる
その瞬間僕の心が弾ける 色鮮やかに
暗闇の中を伝っていって 君の胸に落ちる
この歌の雲が青空を流れていく そこは涅槃の世界
君は涅槃の世界を支える大地だ
乳房の山脈と陰毛の森が僕の性欲を刺激する
君が手を伸ばせば 天国の回廊へ続く
そこはインテリゲンツィアと呼ばれている
涅槃インテリゲンツィアは生きとし生けるもの全てが望む世界だ
皆が平等に平等な状態で生きている
月日も地獄も無い世界
まるで詩を書いている時の気分が永続的に続く場所だ
そして悟りを開く場所でもある
悟りを開いた者だけが辿り着ける場所ではない
涅槃インテリゲンツィアを信じることで精神的に 肉体的にそこに導かれる
雲の上のような快楽を味わえる
穏やかな夕立がアスファルトを濡らし少し潰れた空き缶を転がす
現実の僕はそんなところに視線を置き去りにしている
羽を濡らしたとんぼのように宙に舞ってメビウスの輪を描く
死なんて永遠が終わる時に比べたら可愛いものだろ?
死ぬまで君の歌を歌うよ 死ぬまで詩を書くよ
僕の人生なんて永遠と永遠ののりしろみたいなものだ
雨の東京が誰かに訴えかけるように紛れて背伸びしている
一人で強く生きていきたい
強靱な精神を手に入れてこの世界を涅槃インテリゲンツィアにしたい
命をお与えになって続けて頂く間まで