黎明の空に浮かぶ光明は儚い
プル式

小さな渦にあめんぼが脚を取られていた
男は意味も無く泣いていた

空は薄く曇り
まるで世界中が白い
銀色に染まった朝の事である

コトコトと煮えるシチューの湯気に記憶が奪われていった
男の心の中で少しだけ何かが笑っていた

スープ皿はとても美しく
まるでホームドラマの
橙色に染まる夕闇の事である

シーツの皺に猫が絡め取られていた
男は無表情に猫から魂を切り出した

記憶は悲しみよりも深く
まるで透明な湖の
灰色に染まる眠りの宵の事である


自由詩 黎明の空に浮かぶ光明は儚い Copyright プル式 2007-07-24 01:30:03
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