詩集・聖なるペギー
生田 稔
★弥陀の目
弥陀の眼を私は見た
見上げた12歳の少女の目
その瞳の柔らかき疑問を、美しとした
再びは見れぬ弥陀の目
慈悲のまろやかな輝き
4尺半の痩躯に漂う幼い気持ち
私は再びはその眼に遭うことはあるまい
★スカンポの空
見あぐれば太陽
スカンポのような少女
が微笑んで
すれ違う自動車
ブルーのシャツを着込んで
スカンポのような少女
ボーツと見つめる空
レアのように近目かな
明日はどうなるこの子も
スカンポのような少女
いつもすれ違うよ
今日は天気がよく蒸し暑い
★浮き草
貴女と
ほんのしばしの
お付き合いであるとしても
またそれは過ぎ去り
空しさがくるのです
私には家内が
彼女こそわたしの心で
あって欲しいのです
冷たいとと言われても
家内こそわたしにとって
すべてです
甘い午後
谷川俊太郎詩集
ふと閉じて
ポケットを探れば
183円
コロッケ105円
彼女は甘かったと言う
もう決して私には
いけないよ
梨の香り
ほのかに午後4時
ペギー&I
僕の妻は田舎娘のペギー
伊勢丹の地下の
サンドイッチ・スタンドで
いつまでもよねーと
泣くんだ