ジョオニイ
ふるる

せんだって、流星群がひとっつも見えなかった曇りの夜
ジョオニイはやっぱり仕事をクビになり
見えない恋人を連れて
俺んちにやってきた

ジョオニイの左の肩甲骨は
ややかしいでいるので
恋人がしなだれかかっているのは
嘘か本当か

ミルク飲むかと聞くと
ジョオニイは複雑な顔をしてミルクか、と言う
その音聞くとぞっとするぜ
何が

俺が昔、客船だった頃
は?まあいいや、で?
乗ってきたガキが甲板にミルクこぼしやがって
ミルクミルクずっと泣いてるんだぜ
一晩中
信じられねえ
一晩中ミルクミルクだぜ
誰も後片付けしやがらねえから
ミルクミルクのシミがついてよお
情けなくて泣いたのは後にも先にもあの時だけだぜ

ジョオニイお前さ
そんなことばっか言ってるから
仕事クビになるんだぜ
聞いてるのか
今夜は泊めてやるけど明日は他探せよ

仕事なんてよお
流星を逃がしてやるだけで十分だよ
何だよそれ
ジョオニイは答えず

頭が痛いんだよ、とつぶやいて
水平線の上に
ころりと横になる



自由詩 ジョオニイ Copyright ふるる 2007-07-22 22:23:49
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