祖母が踏みしめたニコチンコンクリート
こうや
道路に捨てられた タバコ
雨で濡れてふやけて溶けた
日々吸収してゆくコンクリートは
ついにニコチン中毒となった
それは
お祖母ちゃんが乙女だった頃の 地面のハナシ
私は縁側に座って
真っ赤に熟れたスイカを食べる
わざと汁を滴らせて
地面にボソリとした染みをつくるのが 好き
お祖母ちゃんはきっと知らなかっただろうな
こぼれた汁に群がる蟻も
種が土の色と同化する様も
かつてニコチン中毒だったコンクリート
溜まりに溜まった白い煙を
今は地球の裏側に吐き出しているらしい
すでに亡き祖母にとっても
スイカにむしゃぶりつく私にとっても
そんなことはもう無関係である