見えない車窓
ぽえむ君

夜の列車から見るその風景は
何も動いていなかった
駅を出発してから
ずっと走り続けている
次の駅はもうすぐなのだろうか
それも定かではない
四人がけの座席に
自分だけかぽつんとだけ
窓越しに肘を立てながら
朧げな世界の中にいる

果たして今
自分は現実の世界の中にいるのだろうか
奇妙な世界だった
窓の外は闇だけしか見えない
間もなく停車する
そのアナウンスに安心する

停車した駅は
誰もいなかった
降りる人も乗る人も
発車ベルを鳴らす人も
誰もいなかった

列車はまた走り始める
窓の外は暗いまま
それでも列車は
確実に目的の場所へ
自分を連れて行ってくれる
それは「平和な国」の
走り方でもあった


自由詩 見えない車窓 Copyright ぽえむ君 2007-07-21 23:15:53
notebook Home