循環
山中 烏流

手の内ではじける
しゃぼんだまに似た空に
遠い影を投影しては
また、見上げている
 
影送りだなんて
とうに忘れ去られた遊びを
何度も、何度も
繰り返して
 
 
空を横切る
飛行機雲をなぞって
それを、空平線と呼んだ
 
終わることなく
繰り返し続ける空を
また、そこから
産み出せるように
 
 
 (目を瞑ると
 子供の頃に読んだ
 おとぎ話が見えた気が、した
 
 数えきれないほど
 読み返したそれは
 形を変えて
 私の中で、幾度も
 
 幾度も)
 
 
私の中にある
おびただしい数の螺旋は
幾重にも連なって
空へと
手を伸ばしている
 
きっと
その中にいるであろう
たくさんの私も
空へと
手を伸ばしているんだろう
 
 
はじけたあとで
空の欠片に映ったままの
影送りの名残は
私を見つめながら
次第に、消えていく
 
ゆらゆらと揺れた
私を縁取ったそれは
遠くの影に溶けて
 
また、
生まれていく
 
 
繰り返して、いく。


自由詩 循環 Copyright 山中 烏流 2007-07-20 23:55:35
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