スイカのスープ
ふるる

夏の朝
白いテラスで
ラジオが唸ってる

はるか頭上の風は
あまり動いてない
雲も眠ってる
テーブルクロスも

キッチンから
また君がドーナツを揚げる音と匂い
揚げたては好きだけど
後はどうも

テーブルの大皿に
高く積み上げられたドーナツ
昼からは
台風だってさ

君は聞いてないで
青いスカートひらっとさせて座り
にこにこしながら
もう二個目なの、に手を伸ばす

君の読んでる怪しい雑誌によると明日は
ドーナツの精がプラスの運気を運んでくる
そうだけど

僕には何のことかさっぱり
いや、もういらないよドーナツは
ちょっと散歩に行ってくる

土の匂いが立ちのぼる
リゾートの山道
木々を分け入る
シダは緑の羽根を広げ
僕を撫でる
ますますむあっとする
汗が伝う

君はテラスでCDをかけたらしい
後ろでかすかに
二人のお気に入りの歌声
次の転調がぐっとくるんだ
それもまた、いいもんなんだよ
 って感じでさ
、うん、

三個目のドーナツも食べ終ったかな
台風はもうすぐかも
静か過ぎるし

そんなこと
僕は考えながら引き返す

午後も暑そうだから
昼食は
君の作ったスイカのスープがいい

僕ら違いはあるけど
君のスイカのスープはスパイシーで美味しくて
二人のお気に入り

飲んでから
台風が襲って来たら

CDを大音量でかけて
息を止めて飛び込もうか
熱が交じり合うくらいに
濡れて笑って踊ったり

ドーナツを食べてない時の君の
ばっかみたいっていう笑顔
それもまた、いいもんなんだよ

君は人魚みたいに
あおいスカート足にまとわり付かせて
僕にお姫様抱っこされる
って感じでさ
、うん、




自由詩 スイカのスープ Copyright ふるる 2007-07-20 23:00:01
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