ぴえろ・ぎゃろっぷ
モーヌ。




5小節へ と

ベースラインの はずむ 弧線が

988 ヘクトパスカル で 吹いて

フィールドの 天半球と かさなって ゆく...

らぶ ばらっど

( 風乗り )

高音域の 透度は 青の 光彩で 寄り添い

明けがたを 待った 温室の 窓から

花びら 風に 飛ぶ

ぼくは 片辺の 花びらに 乗った





もう ゆくことは ないで あろう

異国の 街の 名たちを つぶやいた

まわり ながら

また 四方よもへ 胸を つく 生還を 走らせる

水の 体内の なかで

どこにも いなかったけれど

いつでも いた あなたの

名に 変身 して ゆくような 気が する

ひとの けはいの しない

渇望の ような 白く 灼けた 三日月の 砂浜を

歩いて きた んだ





花びら 風に 飛ぶ...

きょうの 空は

まだらな 低い雲の かたまりが いっぱい

フィールド・オブ・ドリーム

球声の しない 外野の 雨上がりの 芝生に

雲が まだらな 影に 落ちて ランニング する

落球も 敗戦も おおかった けれど

みどりの なかで

忘れな草も 生き生きと して いる





ふしぎと いっしょに プレー した

少年たちの 顔は 忘れない

ぼくが 引っ越して ゆく とき

ひとり 見送って くれたのも

そんな プレイヤーの ひとり だった

まさみ と いう名の

女子 みたいな 名の 少年

日曜で 練習の日 なのに

わざと 遅れて ぼくを 待って いた





ことばも なく

ぼくに ボールを 投げ つけて

くるっと 駈け 去った

背番号は 22 だ

さよなら

それで よかった

ひとと 呼吸を かさねる ことの

実感が 愛を 生んで

頬に バンド・エイドを 貼って いた

おかしな やつ...





アクアライン に 沿って

雲が 影に なって つぎつぎと 落下 する

そうして 滑る ように 流れて ゆく

からっぽの 河川敷の グラウンド

きょう 望む 晴れた 空は 青が 深い

あの 空の なかに

あの 雲の なかに

ボールは 消えて

陽を あびて

また 落ちて くる










自由詩 ぴえろ・ぎゃろっぷ Copyright モーヌ。 2007-07-20 05:59:46
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