雑句(2007-06-27〜2007-07-18)
若原光彦

・2007-06-27

みみたぶが東海道をつかまつる

石橋を渡ったあとで叩き割る

挨拶が済んだ途端に落とされる

ワカバラじゃないので席を立ちません

青からず赤からずして好画題

とつぜんの尿検査にもちゃんと出る

ラケットで寒天の玉叩っ斬る

ウエディングケーキが熱で溶けている

印度から上陸本場加齢臭

抜けた毛を必死になって植え戻す

西部から浪速商人やってくる

まるですね丁寧に言やおまるです

人魚ですまちがえました魚人です

将軍のごほんも前は隠します

亀ガメラ恐竜ゴジラ俺ミイラ

ちくわ部はどんな大会あるでしょう



・2007-07-01

ひとやすみする場所もない虹の橋

二つ傷ひとつを対へ移したし

利き腕の後天性に胸痛む

逃げ出した先はいつでも夜だった

りんどうにりんどうのはなみつけたり

信じないものばかりまだ憶えてる

二階からぼたもち月とすっぽんぽん



・2007-07-07

青空に痛いのせいの飛んでいけ



・2007-07-16

投げられた匙をひろって投げ返す

頭ってなんていいものなんでしょう

コーヒーとコーヒー味がありますが

ガチャガチャにシークレットの父入る

あすは晴れときどき内緒なのでした

あそこにもお経書いたか芳一よ

産むだけで育てないから花はいい

転校後コールタールを見ていない

過去形で言わない彼の優しさも

日の落ちたあたりはきっと暑かろう

地獄耳地獄でさほど役立たず

目を閉じて日陰にふたつ目を隠す

死んだ彼ばかり好かれていますよね

ドナルドに餌をあげてはいけません



・2007-07-18

いい人と思われたのかねこがきた

馬鹿なので馬鹿と呼ばれて振り返る

対義語を求めて勇者旅に出る

心臓も図案のほどに丸くなく

裏切りの前後に文を書き起こす

スパイクで知人の顔の影を踏む

折り返し地点と知らず行き過ぎる

外すとき風鈴やたら多く鳴る

名ばかりの会員名簿名ばかりの

落とし穴不発を夜に埋めに行く


川柳 雑句(2007-06-27〜2007-07-18) Copyright 若原光彦 2007-07-19 19:53:30
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