0→1
ふるる


から病んで臥せっていたはずの姉さんが這い出てきた
北の海はすっごく寒かったんだから
カラカラと寂しい音が喉からして
手で青を掴んできたわあんた青が好きだったでしょう
ショウの途中で姉さんは倒れたんだったっけ
毛糸の紐パンをほどこうとしていた矢先に
木にへんな実がなっていて上から見たけどザクロよ
良い子でいたけどあたしたち全然いいことなかった
ただあんただけはきれいに育ったからいいんじゃない
ナイチンゲールっていう鳥は青いんだっけ
毛虫を食べるから鳥っていまいちよ
千代紙で鶴を折ってたのよ姉さん
散々な目に合ってきたけど
どうでもいいわほらあんたの好きな青
押入れを開けちゃったけどあれがよくなかったの
脳みそがあるって知っちゃった皺だらけだって
天国って綿飴みたいなところかなあ
明日また話してよ姉さんほら鶴
つるつるしてるけどこれは何
人間よ姉さん私は鳥じゃないんだな
なあんだじゃああんたいまいちじゃなくてやっぱきれい
いいお話したげようか
髪を梳いてあげるからまた大人しく寝てね
姉さんは後ろにずりずり後ずさりしながらまた床に臥せ
背のたかい男の子がいましたある日
ひ、ひ、ひひひ、


自由詩 0→1 Copyright ふるる 2007-07-19 00:34:35
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