夏の月、海に剥がれて
たりぽん(大理 奔)
内出血の赤黒い斑紋の雲が月を
夜空の剥がれかけた爪にする
夏の海、と
あなたが決めつけたとき
波は季節を、海は名前を失い
水はただ塩辛く
傷だけが夜空にあるなら嫌いだ
黒く塗られた頁の
塗り残しの星空、は
さあやめよう、季節の中に置くのは
ゆだねるにはあまりにも
僕は曖昧な気体として
泣き叫びそうな痛みだとしても
剥がれそうな月を手のひらで包み
頭上できゅっと握れば
手首をつたう
ほら、手に入れる
夏の、なまぬるい夏の海
自由詩
夏の月、海に剥がれて
Copyright
たりぽん(大理 奔)
2007-07-18 23:24:22
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